ヴィンテージギターは、その風格や音色に魅了された多くのプレイヤーにとって、単なる楽器ではなく、長年付き合っていく大切な相棒のような存在です。しかし、その魅力を維持するためには、適切なリペアとメンテナンスが欠かせません。「ヴィンテージ ギター リペア」と検索している方の多くは、愛用のギターに不調を感じたり、これから長く使うための準備をしたいと考えていることでしょう。
この記事では、ギターのオーバーホールが必要な理由から、ピックアップの調整やフレット交換といったリペアの具体的な作業内容、さらにはバインディング修理などの細かいパーツケアまで、ギターを自分で修理をしたい方にも役立つ実践的な情報を紹介します。また、ギターのリペア用チェックリストやギターのメンテナンス方法に関して、初心者でも安心して始められる手順も解説します。
加えて、リペアにかかるヴィンテージギターのリペア料金の目安や、信頼できるリペアショップの選び方、音の変化に直結するヴィンテージギターの音質への理解、そしてオリジナルパーツの重要性についての考え方など、価値や判断の基準となるポイントにも丁寧に触れていきます。エレキギターのリペアに特有の注意点も取り上げており、幅広い読者の疑問に応える内容となっています。
愛着のあるヴィンテージギターを長く大切に使い続けるために、信頼できる情報と確かな判断を持つことが重要です。このガイドが、あなたのリペアに関する理解を深め、より良い音とパフォーマンスに繋がるヒントとなれば幸いです。
- ヴィンテージギターの状態に応じたオーバーホールや修理の必要性がわかる
- 自分でできるメンテナンスや調整方法を理解できる
- 音質や価値に影響するパーツや修理の選び方を学べる
- リペアショップを選ぶ際の基準や注意点を把握できる
ヴィンテージギターのリペアに必要な基本作業とは
- ギターのオーバーホールが必要なサインとは
- 自分でできるギターの簡単なリペア方法
- ピックアップ調整で音質を改善するテクニック
- フレット交換が必要な状態の見極めポイント
- バインディング修理を始める前に知っておきたいこと
ギターのオーバーホールが必要なサインとは

ギターを長く使っていると、「最近なんだか音がぼやけている」「弾き心地が以前と違う」と感じることがあります。そんなときに検討すべきなのが“オーバーホール”です。オーバーホールとは、ギター全体の状態をチェックし、必要なパーツの交換や調整を行うことで、楽器本来の性能を引き出すリペア作業の総称です。
初心者の方は特に、「どのタイミングでオーバーホールが必要なのか」がわからず、不調を我慢してしまいがちです。しかし、放置することで症状が悪化し、修理費用がかえって高くなってしまうこともあります。そこでまず覚えておきたいのが、“オーバーホールが必要なサイン”です。
- フレットが極端にすり減っていて、音がビビる
- ネックが反っていて、弦高が異常に高くなっている、または低すぎる
- ペグが緩く、チューニングが安定しない
- ピックアップの出力が弱く、音が途切れるように感じる
- ノイズやハム音がひどくなってきた
- ボリュームやトーンノブの反応が鈍い、またはガリ音がする
- バインディングの劣化や、塗装の剥がれが目立ってきた
このような症状が複数見られる場合、ギターは全体的なメンテナンスを必要としている可能性が高いです。たとえ1つひとつの問題が軽度に見えても、パーツ同士が影響し合うため、局所的な修理では本質的な改善に繋がらないこともあります。
特にヴィンテージギターの場合は、オリジナルパーツを尊重しつつ、最小限の修理で最大限の効果を出すことが求められます。そのため、自己判断で分解や調整を試みるよりも、信頼できるリペアショップで一度点検してもらうことをおすすめします。
定期的なオーバーホールは、ギターの寿命を延ばすだけでなく、演奏の快適さや音質の向上にもつながります。「ちょっとでも違和感を覚えたら」— それが、オーバーホールのサインかもしれません。
自分でできるギターの簡単なリペア方法

ギターのリペアは専門的な作業が多いイメージですが、実は初心者でも手軽にできるメンテナンスや軽度の修理がいくつか存在します。とくにヴィンテージギターは繊細な扱いが必要ですが、毎日のケアを自分で行うことによって状態の悪化を防ぎ、長く良好な音を保つことが可能です。
まず基本となるのは、ギター全体の清掃です。指板には汗や皮脂が蓄積しやすく、時間とともにフレットの劣化や音の鈍化の原因になります。柔らかいクロスと専用クリーナーを使って、弦を外した状態で指板を丁寧に拭くことで、トラブルの予防につながります。
次に試してほしいのが弦高の調整です。トラスロッドの調整やブリッジの高さの調整はややハードルが高いですが、サドルのネジを回して微調整するだけでも弾き心地は大きく改善されます。ただし、ネックの反りを伴うような調整はリスクがあるため、初めての場合は慎重に、可能なら専門家に確認しながら行いましょう。
また、ピックアップの高さ調整も手軽にできる作業の一つです。出力バランスが悪いと感じたら、プラスドライバーでピックアップの高さを微調整することで、音の輪郭がよりはっきりとします。あくまで少しずつ調整し、音の変化を確認しながら行うことが大切です。
さらにナットやサドルの潤滑も効果的です。ナットの溝に鉛筆の芯(グラファイト)を軽く塗るだけで、チューニングの安定性が向上します。潤滑剤を使うのも一つの方法ですが、塗布しすぎないよう注意が必要です。
最後に、配線部分の接点復活剤の使用もおすすめです。ジャックやポットの接触不良は、ノイズや音切れの原因になります。接点復活剤を使って軽く清掃するだけで改善するケースも多いため、定期的なメンテナンスとして取り入れてみましょう。
これらの作業はどれも特別な工具を必要とせず、少しの知識と慎重さがあれば自分で対応可能です。とはいえ、分解を伴うような作業や、内部配線の修理はリスクが高いため無理は禁物。わからないことがあれば、リペアショップや信頼できる技術者に相談するのが安心です。
まずは簡単な作業からスタートし、愛用のギターを自分の手でケアする楽しさと大切さを感じてみてください。
ピックアップ調整で音質を改善するテクニック

ピックアップはエレキギターの心臓部とも言える重要なパーツであり、その高さや角度を調整することで、出力や音質に大きな変化をもたらします。特にヴィンテージギターでは、経年変化によりピックアップの位置が微妙にズレていることも多く、音の輪郭やバランスに違和感を覚えるケースが少なくありません。
まず、ピックアップの高さを調整する理由を明確にしましょう。出力が弱い、音がこもる、低音が強すぎる、逆に高音が耳に痛いと感じるなどの症状は、ピックアップの高さが適切でないことが原因かもしれません。適正な高さに調整することで、各弦の音量バランスが整い、よりクリアで芯のある音を得ることができます。
調整方法は比較的シンプルです。ピックアップの左右にあるネジをプラスドライバーで回すだけですが、その際には事前に各弦の出力バランスを確認することが大切です。一般的には、6弦側(低音弦)はやや低め、1弦側(高音弦)は少し高めに設定することで、自然なバランスが得られやすくなります。弦とピックアップの距離は、おおよそ1.5〜2mmが目安とされますが、ギターやピックアップの種類によって適正値は異なります。
音を確認しながら、半回転ずつネジを回し、少しずつ調整していくのがコツです。一度に大きく動かすと、どの変化が音に影響しているのか分からなくなってしまうため、変化の過程を記録しながら進めると安心です。
注意点として、ピックアップを弦に近づけすぎると、磁力によって弦の振動を妨げてしまい、サステインが短くなったり、音が歪んだりする原因になります。逆に離れすぎると、出力が極端に下がり、迫力に欠ける音になってしまいます。適切な距離感を見つけるためには、何度も音を確認しながら微調整することが大切です。
また、ピックアップの種類によっても特性が異なるため、シングルコイルとハムバッカーでは最適な設定が異なります。シングルコイルは繊細な音を重視するため距離はやや広め、ハムバッカーは力強さがあるため近めでも問題ない場合が多いです。
ピックアップの調整は、ギターの音質改善において最も効果的かつ自分で試しやすいリペアのひとつです。調整前後で録音して比較してみると、その違いを客観的に把握でき、耳を鍛えるトレーニングにもなります。自分の演奏スタイルや音の好みに合わせて調整することで、より自分らしい音作りを楽しめるようになるでしょう。
フレット交換が必要な状態の見極めポイント

フレットはギターの演奏性や音質に直接影響を与える重要な部品です。頻繁に演奏する方ほどフレットの摩耗は早く進み、知らないうちに弾きづらさや音の不調を引き起こしていることがあります。では、どのような状態になったらフレット交換を検討すべきなのでしょうか。ここでは、初心者でも判断しやすいフレット劣化のサインを中心に解説します。
まず最もわかりやすいのが、フレットの“へこみ”です。特にコードを多用するポジション(1〜5フレットあたり)は使用頻度が高く、弦によってフレットが削れてしまうことがあります。指板を斜めから光にかざしてみて、特定のフレットだけが部分的に平らになっていたり、溝ができていたりする場合は要注意です。
次に注意したいのが、ビビりや音詰まりの発生です。演奏中に特定のフレットで「ビーン」と音がビビる場合、ネック調整だけでなく、フレットの高さの不均一さが原因であることがあります。このような場合、部分的なすり合わせで改善できることもありますが、全体的な摩耗が見られる場合は、フレット交換が最も確実な対応となります。
また、チューニングが安定しにくくなった場合も、フレットの摩耗を疑うべきです。摩耗したフレットでは、押さえた際に弦の接触ポイントがズレてしまい、微妙な音程ズレが生じやすくなります。このズレが蓄積すると、コードの響きが濁ったり、特定の音が不快に感じたりすることにつながります。
視覚的にわかりやすい変化としては、フレットが薄くなって丸みが失われている場合もあります。新しいフレットはしっかりとした山型になっていますが、摩耗が進むと頂点が平らになり、見た目でも違いがはっきりわかるようになります。このような状態になると、音の立ち上がりが鈍くなり、アタック感が失われることもあります。
最後に、フレットのすり合わせを何度も繰り返しているギターは、フレット自体が低くなりすぎて交換のタイミングを迎えていることがあります。すり合わせは一時的な調整には有効ですが、何度も行うとフレットの高さが不足し、演奏性そのものに支障が出るため注意が必要です。
ヴィンテージギターの場合、オリジナルのフレットをできるだけ残したいという考えもありますが、演奏性や音質を大きく損なうようであれば、信頼できるリペアショップで適切な素材・形状での交換を検討するのが賢明です。特に自分でリペアするのが難しいパートのため、早めの判断と専門家への相談が満足のいく結果につながるでしょう。
バインディング修理を始める前に知っておきたいこと

バインディングとは、ギターのボディやネックの縁に装着された装飾と保護を兼ねるパーツのことです。見た目の美しさを際立たせるだけでなく、木材の角を守るという重要な役割を果たしています。特にヴィンテージギターでは、バインディングのデザインや素材に希少性があり、楽器の価値や印象に大きく影響する部分でもあります。
しかし、バインディングは経年劣化に弱く、乾燥や湿度変化によってひび割れや剥がれが起きやすい箇所でもあります。気付かないうちに変色が進んでいたり、端からめくれ上がっていたりすることもあり、放置してしまうと修復がより困難になるケースがあります。
バインディング修理を始める前に知っておくべき大切なポイントは、まず「無理に剥がしたり触れたりしないこと」です。劣化して硬化したバインディングは非常に脆く、ちょっとした力でも割れてしまうことがあります。見た目が悪くなっているからといって無理に取り除こうとすると、周囲の塗装や木部にまでダメージを与える可能性があるため注意が必要です。
次に、素材の違いについても理解しておきましょう。古いギターではセルロイドが使われていることが多く、これは非常に縮みやすく、また接着剤の種類にも注意を要します。現代の合成樹脂とは性質が異なるため、代替素材を使って補修するときには色や質感の差が目立ちやすく、全体の見た目に違和感が出ることもあります。
また、バインディング修理は単に見た目を整えるだけでなく、将来的な保護の意味も含まれているため、丁寧な処置が求められます。必要に応じてヒートガンや専用の接着剤を用いた作業が必要になりますが、こうした道具の取り扱いには経験が求められます。特に熱を加える作業は、誤って周囲の塗装を溶かしてしまうリスクもあるため、自信がない場合は専門店への依頼が賢明です。
ヴィンテージギターの場合、オリジナル性をできる限り保持することが価値維持の鍵となります。バインディングもそのひとつで、オリジナルの色味や風合いを残す修理は、見た目以上に高度な技術が必要です。事前に修理内容についてリペアショップとしっかり相談し、元の状態をどこまで再現できるのか、パーツの再利用は可能かどうかなどを確認しておくと安心です。
バインディングは見落とされがちなパーツですが、ギターの美観や構造を保つためには非常に重要です。ひび割れや浮きが気になり始めたら、できるだけ早めに対処することが、ギターの寿命を延ばす第一歩となります。
ヴィンテージギターのリペア|後悔しない選び方と判断基準
- ヴィンテージギターのリペア料金はどれくらい?
- エレキギターリペアで注意すべき特有のポイント
- 音質を左右するオリジナルパーツの重要性とは
- リペアショップの選び方で失敗しないための基準
- ヴィンテージギターの音質に影響する修理の考え方
ヴィンテージギターのリペア料金はどれくらい?

ヴィンテージギターのリペア料金は、その状態や必要な修理内容によって大きく異なります。特にオリジナルパーツの保存や素材の入手の難しさなどが関係するため、一般的なギターよりも費用が高くなりがちです。この記事では、代表的なリペア項目とその料金の目安、費用が変動する要因についてわかりやすく解説します。
まず、最も基本的な点検や調整作業では、5,000円〜10,000円程度が相場です。これはネックの調整や弦高調整、トラスロッドの微調整など、演奏性の向上を目的とした軽微な作業が中心です。
一方、パーツ交換や構造的な修理が必要な場合には、それぞれの作業内容に応じた料金が発生します。たとえば、フレット交換は素材や本数にもよりますが、30,000円〜50,000円前後が一般的な価格帯です。ピックアップの交換作業であれば、パーツ代を除いても10,000円〜20,000円程度が目安となります。バインディング修理に関しては、部分的な補修で10,000円〜、全面張り替えになると50,000円を超えることもあります。
さらに、全体のオーバーホールを依頼する場合には、50,000円〜100,000円以上の予算を見込む必要があります。これにはネックのリセット、全体のクリーンアップ、接点の修復、必要に応じた塗装修正など、多岐にわたる作業が含まれます。
料金に差が出る大きな要因の一つは、修理に使われるパーツの「オリジナル性」と「入手難易度」です。ヴィンテージギターではオリジナルパーツの有無が楽器の価値を大きく左右するため、可能な限り当時の仕様に近い部品を使用する必要があります。そのため、希少なパーツを海外から取り寄せる場合などには、追加のコストがかかることがあります。
また、リペアショップの信頼度や技術力も価格に反映される要素です。安さを重視して選んだショップで雑な作業が行われてしまうと、音質や演奏性を損なうばかりか、楽器の価値を下げることにもつながります。信頼できる専門店で見積もりを取り、修理内容と金額を十分に納得したうえで依頼することが、結果的に満足度の高いリペアにつながります。
最後に注意したいのは、「料金だけで判断しないこと」です。ヴィンテージギターはただの楽器ではなく、資産価値や愛着のこもった存在であることも多いため、金額よりも仕上がりの品質や対応の丁寧さを重視することが大切です。リペア料金はあくまで“目安”であり、個々のケースで最適な判断をしていくことが、ギターを長く大切に使うための第一歩となります。
エレキギターのリペアで注意すべき特有のポイント

エレキギターのリペアには、アコースティックギターとは異なるいくつかの特有の注意点があります。構造や電子部品の複雑さ、素材の違いにより、修理のアプローチや必要な知識も変わってきます。ここでは、エレキギターならではの修理時に気をつけたい代表的なポイントを紹介します。
まず最も重要なのは、電気系統のチェックです。エレキギターにはピックアップ、ポット(ボリューム・トーン)、スイッチ、アウトプットジャックなど、音の出力に関わる多くの電子部品があります。これらの部品の接触不良、断線、劣化はノイズや音切れの原因になります。とくに古いギターでは、はんだの劣化や内部配線の腐食が起きていることもあり、見た目では判断できないことが多いです。
次に注意したいのが、ピックアップの種類と特性です。シングルコイル、ハムバッカー、P-90など、搭載されているピックアップの種類によって音の特性が大きく変わるため、交換や修理の際には元のサウンドキャラクターを壊さないように配慮する必要があります。ヴィンテージモデルの場合、ピックアップそのものが価値の一部になっているため、むやみに交換するのではなく、リワインド(巻き直し)で対応できるケースもあります。
また、ブリッジやトレモロユニットの調整にも注意が必要です。特にフロイドローズなどのロック式トレモロは構造が複雑で、セッティングの難易度が高いため、分解や調整は慎重に行う必要があります。正しいセッティングができていないと、チューニングの安定性や演奏性に大きく影響します。
塗装の種類と状態も、エレキギター特有のポイントの一つです。ポリ塗装やラッカー塗装など、仕上げの種類によって補修方法が異なります。ヴィンテージギターではラッカー塗装が使われていることが多く、熱や溶剤に弱いため、一般的な方法での修理はかえって塗装を痛めてしまうことがあります。
最後に、エレキギターのボディ構造自体の違いにも注目すべきです。ソリッドボディ、セミホロウ、フルホロウでは、内部構造が異なり、それぞれで響き方や修理の難易度が変わります。たとえばフルホロウタイプでは内部へのアクセスが難しく、配線修理や補強作業に時間がかかる場合があります。
エレキギターのリペアは、電気的な知識と木工的な技術の両方が求められる分野です。自分でできる作業も多い一方で、判断を誤ると元の状態より悪化してしまう可能性もあります。無理をせず、異常が見つかった場合には専門のリペアマンに相談することが、安全かつ確実な修理への近道と言えるでしょう。
音質を左右するオリジナルパーツの重要性とは

ヴィンテージギターを語る上で欠かせない要素のひとつが、オリジナルパーツの存在です。ネジ一本に至るまで当時のままの状態を保っているギターは、それだけで希少価値が高く、多くのプレイヤーやコレクターにとって魅力的な存在となります。しかし、見た目だけではなく、音質にも大きな影響を与えていることはあまり知られていません。
まず理解しておきたいのは、オリジナルパーツが持つ音響特性です。たとえばヴィンテージのピックアップには、手巻きのコイルや独特の磁石素材が使用されており、これが独特の倍音成分やサスティンを生み出しています。現代の量産パーツでは再現が難しく、たとえ見た目や数値が似ていても、実際の音には微妙な違いが出ることが多いです。
また、ポットやコンデンサーといった電子部品にも同様のことが言えます。古い抵抗値や容量の部品は経年変化により独自のクセを帯びており、その「劣化」さえも音作りの一部と捉える人も少なくありません。こうした要素が複雑に絡み合って、ヴィンテージギターならではの深みや温かみのある音が生まれるのです。
逆に、リペアの際にこうしたオリジナルパーツを新品に交換してしまうと、音のキャラクターが一変してしまうことがあります。演奏性が向上する一方で、サウンドの「味」が失われるケースもあり、プレイヤーの求める方向性によって判断が分かれるところです。
物理的に壊れていない限り、できるだけオリジナルパーツは残しておくことが推奨されます。また、やむを得ず交換する場合でも、取り外したパーツは必ず保管しておきましょう。将来的に再装着することや、販売時の価値を維持するうえで非常に重要なポイントとなります。
さらに、オリジナルパーツの存在は音質だけでなく、そのギターのストーリーや歴史的背景にもつながります。どのような年代に作られ、どのようなプレイヤーに使われてきたのかを想像する楽しみも、ヴィンテージギターの醍醐味のひとつです。
リペアの際は、単なる修理ではなく、こうしたパーツの価値を理解し尊重する姿勢が求められます。信頼できるリペアマンであれば、オリジナルの音を生かした最小限の対応や、代替パーツでも見た目・機能ともに近いものを提案してくれるはずです。
オリジナルパーツの価値を見極め、音質と保存のバランスをとる判断ができること。それがヴィンテージギターとの長い付き合いを実現する鍵となります。
リペアショップの選び方で失敗しないための基準

ヴィンテージギターのリペアは、技術力だけでなく繊細な判断と経験が問われる作業です。そのため、どのリペアショップに依頼するかは、仕上がりの満足度を大きく左右する重要なポイントです。ここでは、失敗を防ぐために押さえておきたいリペアショップ選びの基準について紹介します。
まず確認したいのが、リペア実績と専門性です。公式サイトやSNSなどで過去の修理事例をチェックし、ヴィンテージギターの修理経験が豊富かどうかを確認しましょう。特にGibsonやFenderなど、ブランド別の対応経験があると安心感が増します。実績の多さは信頼の証であり、難易度の高い修理にも対応できる可能性が高くなります。
次に大切なのが、見積もりと作業内容の透明性です。修理費用が明確に提示されているか、作業の工程や納期について具体的に説明してもらえるかをチェックしましょう。曖昧な説明や「やってみないとわからない」という姿勢のまま進められると、後々のトラブルにつながりやすくなります。
また、オリジナルパーツの取り扱いや保存についての考え方も重要です。ヴィンテージギターの価値を損なわないよう、パーツ交換は最小限にとどめたり、元のパーツを保管してくれたりするかどうかは、リペアマンの姿勢を表すポイントです。こちらの意向を丁寧に聞き取り、代替案を提案してくれるかも確認しておきましょう。
口コミや評判も参考になります。インターネットのレビューや音楽仲間からの紹介など、実際に依頼した人の感想はリアルな情報源です。ただし、一つひとつの声に一喜一憂せず、全体的な評価の傾向を見極めることが大切です。
最後に、コミュニケーションのしやすさは見逃せないポイントです。技術的な説明をわかりやすくしてくれるか、質問に丁寧に答えてくれるかは、信頼関係を築くうえで重要です。自分のギターにどれだけ愛着を持って向き合ってくれるかを見極めることが、長く付き合えるショップ選びの決め手になります。
リペアショップは単なる修理の場ではなく、大切なギターの“かかりつけ医”とも言える存在です。料金や立地だけで選ぶのではなく、技術・説明・信頼性という多角的な視点で比較することで、後悔のない選択ができるでしょう。
ヴィンテージギターの音質に影響する修理の考え方

ヴィンテージギターは、その年式や仕様、使い込まれた風合いが音に独特の深みや温かみを与えるとされ、プレイヤーにとっては単なる楽器以上の存在です。そのため、リペアを行う際には単に壊れた部分を直すという考え方ではなく、「音質にどう影響するか」を中心に据えた判断が求められます。
まず意識すべきは、どのパーツや作業が音質に影響を与えるかを見極めることです。例えば、フレット交換ひとつ取っても、フレットの高さや素材、仕上げの形状によってアタックの強さやサスティンの長さが変化します。また、ナットやサドルの素材も同様で、骨素材やプラスチック、ブラスなどにより倍音や響き方が微妙に異なるのです。
塗装の修理も注意が必要なポイントです。特にラッカー塗装を採用しているヴィンテージギターでは、塗装の厚みや仕上げの硬さがボディの鳴り方に直結します。塗り直しを行う場合、厚塗りになってしまうと音が詰まったような印象になり、もとの音の開放感が損なわれるリスクもあります。
また、ネックの角度やジョイント部の状態も、音の立ち上がりや安定性に関わってきます。ネックリセットが必要な場合でも、元の角度やテンションを慎重に再現しなければ、弾き心地やサウンドのニュアンスに悪影響が出ることがあります。
電子パーツの交換についても、現代の高性能な部品に変えることで利便性が向上する一方、音の個性が変わってしまう可能性があります。ポットやコンデンサーなどは、たとえ古くても特有の経年変化が音に独特の味わいを加えていることが多く、安易な交換は慎重に検討する必要があります。
このように、修理作業の一つひとつが音質に多面的な影響を及ぼすため、単なる修復ではなく「音を守る・活かす」ことを軸に考えることが大切です。プレイヤー自身の理想とする音を明確にし、それを理解してくれるリペアマンと共に方針を決めていく姿勢が求められます。
結果として、音質を意識した丁寧な修理を行うことで、ギター本来の持ち味を損なうことなく、より深みのあるサウンドへと導くことが可能になります。ヴィンテージギターの修理は、機能回復だけでなく音の再構築でもあるのです。
【総括】ヴィンテージギターのリペア時に押さえる基本の総まとめ
- オーバーホールは音質や弾き心地の違和感が出た時に検討すべき
- 複数の小さな不調が同時に出る場合は全体的なメンテナンスが必要
- 自己判断の修理は避け、信頼できるリペアショップに相談するのが安全
- 日常的な清掃とケアでギターの状態を大きく保てる
- 弦高の微調整だけでも演奏性は大きく変わる
- ピックアップの高さ調整で音の輪郭やバランスを整えられる
- フレットのへこみや音のビビりは交換のサインとして重要
- バインディングの劣化は見た目だけでなく構造保護にも関わる問題
- 修理前にバインディング素材や接着剤の特性を把握することが大切
- リペア料金は内容やパーツの希少性で大きく変動する
- オリジナルパーツの有無が修理後の音質と価値に大きく影響する
- 電気系統の不良はエレキギターならではのチェックポイント
- ピックアップやブリッジの種類に応じた修理判断が必要
- リペアショップ選びでは実績と説明の丁寧さを重視すべき
- 修理の目的は音を元に戻すことではなく、音を生かすことにある